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  • 執筆者の写真Avalon

【小テストあり】元素記号の暗記について



中学2年生になると、理科で元素記号が出てきます。



元素は全部で118種類もあるので、中2の段階で何個覚えるべきか、という話ですが、当塾では小テストを2回に分けて、計58種類を覚えて頂いております。


1回目は原子番号1~20のいわゆる基本元素と族の名称、

2回目は1族・2族・13族~18族及び第4周期の元素を、自分で周期表を作成する形で埋めてもらいます。




小テストは下記からダウンロードできます

↓↓

元素周期表_小テスト
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もちろん、中学校の理科で使うのは主として1~20の基本元素であり、中2の時点で58個も覚えるのはoverkillではないかという考え方もあるでしょう。


しかしながら、高校生に上がり、いずれ化学基礎や理論化学を学び始めた時に、これらの元素を既に暗記しているのとしていないのでは、その後の理解に大きな差がつくことは間違いありません。


生徒にはいつも言っていますが、どうせいつかやることなら、時間に余裕がある中学生の間にやっておいた方が得なのです。



・・・全国ポケモン図鑑順のポケモン一覧によると、ポケットモンスターシリーズに登場するポケモンは、各世代のものを合計すると、現時点で900種類近くいるそうです。ポケモン好きの小学生・中学生は、きっと何百種類ものポケモンを暗記しているはずです(知りませんが)


それに比べれば、元素記号の50個や60個を覚えることなど、造作もないとは思いませんか?


 

元素の多くは、ヘリウム(He)やベリリウム(Be)など、頭文字のローマ字がそのまま元素記号になっていますが、中には水素(H)やホウ素(B)など、日本語名から元素記号を直接連想できないものもあります。


そこで、以下では、1~20番の基本元素のうち、暗記しにくいであろうと思われる元素について、元素記号の語源や由来についてまとめてみました。


 


H(水素) 原子番号1


英語名Hydrogenの頭文字。ハイドロジェンと発音します。


Hydro(水)+ gen(生じる) ⇒ 水を生じさせる元素という意味ですね。


"hydro"はもともとギリシア語で「水」という意味です。


後で紹介しますが、英語名が~genで終わる元素は、oxygenやnitrogenなど、他にもいくつかあります。


もちろん偶然だとは思いますが、「みなもと」という漢字「源」、これはゲン(gen)とも読みます。まさに水素は水の源(gen)といったところでしょうか?


水の分子式はH2Oでしたよね?





 

B(ホウ素) 原子番号5


英語名Boronの頭文字。

ガラスやエナメルの原料であるホウ砂に含まれているので、ホウ素という名前がつきました。

ホウ砂が白いことから、もともとはアラビア語で「白」を意味する"borax"が語源になっているようです。ただし単体のホウ素は黒色の固体です。






 

C(炭素) 原子番号6


英語名Carbonの頭文字。

ちなみにcarbonは、ラテン語の木炭(carbo)に由来しています。coal(石炭)、charcoal(木炭)も同語源ですね。


有名なパスタ料理「カルボナーラ」も同語源です。諸説ありますが、個人的には「炭焼き職人が仕事の合間にパスタを作ったら、手に付いた炭の粉が落ちてこういう見た目になるのではないか」という想像から、あの黒コショウを絡ませた「カルボナーラ」が生まれたという話が気に入っています。




 

N(窒素) 原子番号7


英語名Nitrogen頭文字。ナイトロジェンと発音します。

ニトロ(nitre)とは硝石のことで、これは火薬の原料として使われています。


Nitro(硝石)+ gen(生じる) ⇒ 硝石を生み出す元素という意味ですね。


また、ダイナマイトの原料としても有名なニトログリセリンのニトロも、もちろん同語源です。ニトログリセリンは、心臓病の薬としても用いられていますね。


ではなぜ日本語で「窒素」と呼ぶのかということですが、ドイツ語で窒素のことをStickstoffというのですが、これは「窒息させる物質」という意味で、「窒素」はこれを直訳した呼び名ということになります。





 

O(酸素) 原子番号8


英語名Oxygen頭文字。オキシジェンと発音します。

Oxyはギリシア語で「鋭い」or「酸」という意味があります。


Oxy(酸)+ gen(生じる) ⇒ 酸を生み出す元素という意味ですね。


ややこしいんですが、酸素の命名者であるフランスの化学者ラヴォアジエは、当初酸素は「酸」を生成するのに必要な物質であると考え、"Oxygen"と名付けました。しかしながら、後に酸素はいわゆる「酸」とは何ら関係のない中性物質であることが分かったものの、名前だけが残ってしまったというわけです。


ちなみに、消毒液でお馴染みの「オキシドール」は、水に酸素を無理やり溶かし込んだ過酸化水素水(H2O2)の商品名です。




 


Si(ケイ素) 原子番号14


英語名Siliconの頭文字。シリコンと発音します。

土や岩石の中に多く含まれ、地球上では酸素の次に多い元素でもあります。


Siliconの語源は、ラテン語"silicis"、火打石です。

火打石は、その化学成分のほとんどがケイ酸(ケイ素・酸素・水素の化合物)であることからこの名がつきました。


ちなみに、オランダ語でシリコンは"keiaarde"とつづりますが、この単語は「火打石の土」を意味する"keisteen-aarde"の短縮形です。もうお察しの通り、ケイ素の「ケイ」は、この"keiaarde"の前半部分から音写されたと言われています。


オランダ語と火打石から、鉄砲伝来を連想するのは私だけではないでしょう。




 


P(リン) 原子番号15


英語名Phosphorusの頭文字。フォスフォラスと発音します。

語源を辿ると、ギリシャ語で「光を運ぶもの」という意味の"phosphoros"からきています。"phos"が「光」、"pharos"が「運ぶもの」という意味です。


「写真」という意味の英単語"photograph"は"photo"(光で書いた)+"graph"(絵)という意味でしたね。


ところで、リンは漢字で「燐」と書きますが、これは「ひとだま」という意味です。リン単体は非常に燃えやすく、燃えると緑色の怪しい光を発することから、かつてひとだまはリンが燃えているものだと考えられていたためではないでしょうか。




 

S(硫黄) 原子番号16


英語名Sulfurの頭文字。サルファーと発音します。

ラテン語で「燃える石」を意味する「Sulpur」を語源とします。


硫黄は最も古くから認識されている物質の一つであり、聖書の中にも"Brimstone"(燃える石)という名前で、たびたび登場します。


Genesis 19:24-25

Then the Lord rained on Sodom and Gomorrah brimstone and fire from the Lord out of heaven, and He overthrew those cities, and all the valley, and all the inhabitants of the cities, and what grew on the ground.


創世記 19章24節~25節

主は硫黄と火とを主の所すなわち天からソドムとゴモラの上に降らせて、これらの町と、すべての低地と、その町々のすべての住民と、その地にはえている物を、ことごとく滅ぼされた。





 

Cl(塩素) 原子番号17


英語名Chlorineの頭文字。クロゥリーンと発音します。


語源的には、ギリシャ語の"Chlorus"「黄緑色」からきていますが、これは気体の塩素が黄緑色であることに由来しています。


ちなみに、葉緑素の中に含まれる化学物質クロロフィル(Chlorophyll)も、語源は同じです。






 

ここでは基本元素のみご紹介しましたが、興味を持たれた方は21番以降の元素についても、名前の由来や語源などを調べてみるといいと思います。


きっと新たな発見があると思いますよ。



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