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執筆者の写真Avalon

国公立大への道 - 広島県尾道市の場合


保護者の方々と面談する季節がやってきました。


当塾の場合、保護者の方とは原則として年3回定期面談を実施しています。


面談は一人当たり大体1時間、長いと2時間くらいでしょうか?学校の成績・学力のことはもちろん、部活動や家での過ごし方など話題は多岐に及びます。普段塾でしか接することのない生徒の意外な一面を知ることができたりするので、私自身、保護者面談は非常に重要な時間として位置付けています。



中学・高校と学年が上がってくるにつれて、双方の関心事はもっぱら、生徒の進路・特に大学進学についてになります。特に、その際に保護者の方がほぼ必ずと言っていいほど口にされるキーワードは「国公立大」ではないでしょうか?


中高生のお子さんを持つ保護者の方の実に多くが「どこかの国公立大に行ってくれたら」と思っていらっしゃることが伺えます。


そこで、今回は教育業界におけるパワーワード「国公立大」を軸に、公立中学校→公立(県立)高校と進んだ場合に、そこから国公立大学に進学する為の戦略とその実現可能性についてお話しようと思います。


 


1. 過去のデータから類推する

県立高校👩 → 国公立大学🏫


2018~2020年の3年間の各種公開データをもとに、尾道市内の県立高校から国公立大学に進学した生徒の総数を確認しました。


結論から申し上げると、毎年約200人の生徒が市内の県立高校から国公立大学に進学しています。


尾道市にある県立高校の合計定員は一学年約800人ですので、その約25%≒四分の一が国公立大学へ進学している計算になります。


また、この200人の高校別内訳ですが、年により若干の変動はありますが、尾道北高からが130人、尾道東高からが60人、尾道商業高・因島高・御調高から合わせて10人位です。


ちなみに、尾道市在住の中学生世代の人口は一学年当たり約1,500人(そのうち公立中学校に通う生徒は約1,000人)ですので、市内に在住する中学生の半数強が市内の県立高校に進学し、さらにそのうちの25%が国公立大学へ進学しているという状況かと推定されます。


※もちろん、市をまたいで中学・高校に通学されている方もいらっしゃるので、必ずしも100%正確ではないと思いますが、ざっくりと捉えて頂ければと思います。



 

2. 志望大学の選び方

~ 地理的要因から ~



国公立大学は全国に沢山あります。実際、2020年現在、国立・公立併せて全国で160あまりの大学があります。


広島県東部という地理的要因を考慮すると、おおむね以下の20大学あまりが進学先の候補に考える方が多いように思います。



🏫 国立大学 🏫


神戸大学

広島大学・岡山大学

愛媛大学・山口大学・島根大学


🏫 公立大学 🏫


兵庫県立大学・神戸市外国語大学

県立広島大学・岡山県立大学・広島市立大学

山口県立大学・島根県立大学

新見公立大学・尾道市立大学・福山市立大学・下関市立大学



上記の大学の他、更に学力に余裕がある生徒については、大阪大学や九州大学を志望される方もいらっしゃいます。


今回は話をできるだけ単純化する為に、理系・文系の別や細かい学部・学科名は考慮していません。



 

3. 難関国立大への進学者数


何をもって「難関」と定義するかは難しいところですが、県内の多くの高校では

  • 旧七帝大(東京・京都・大阪・北海道・東北・名古屋・九州)

  • 一橋大・東工大・筑波大・神戸大

あたりを難関大学と定義して、自校の進学実績に別記していることが多いです。


年によりバラツキはあるものの、毎年20人~30人の生徒が尾道市の県立高校から難関大学に進学しています。


これは、先ほどの国公立へ進学する生徒200人のうちの1割強に当たる計算になります。





 

4. 広島大&岡山大への進学者数




この2つの大学は2校まとめてしばしば広・岡(ひろおか)と略されています。(岡山県では逆に岡・広とか言うのかしら?)


尾道市からですと広島大と岡山大のキャンパスはほぼ同じくらいの距離にありますので、どちらの大学も同じくらい人気があります。


年によりバラツキはあるものの、毎年30人~35人の生徒が尾道市の県立高校から広島大学・岡山大学に進学しています。


3と4から、「難関大」と「広・岡」の人数を単純に合計すると、毎年50人~65人がこれらの大学に進学していることが分かります。





 

5. 医・歯・薬学部への進学者数


医療系学部はなかなかの狭き門です。東大や京大などの医療系以外の学部と比較しても、難易度は互角かそれ以上と言えると思います。なかんずく医学部医学科は極めて難しいですが、それでも尾道市の県立高校から医学部に合格している生徒は2~3年に1人程度はおられるようです。


すごいことです。純粋に尊敬します。



 

6. 国公立大に進学したい(させたい)方へ

戦術・戦略・目標の立て方


ここまでの事実を要約すると次のようになります:


市内の県立高校に通う約800人(一学年)の高校生のうち・・・


  • 国公立大への進学者数は約200人/年

  • 難関大・広島大・岡山大への進学者数は約50人/年

  • 国公立大医学部への進学者数は約0.5人/年


もしこの記事を読んでいるのが、国公立大への進学を目指す市内の中学生 or 中学生の保護者の方であれば、現在通われている中学校の中で学年10番以内を目指すべきでしょう。


尾道市内には、16の公立中学校があります。16校×10人=160人ですので、国公立大へ進学する200人の中に入るためには、悪くとも学年で10番目位の位置ににつけていることが求められます。(もちろん中学校の規模にもよります。一学年50人規模の中学校であれば、5番目位の位置につけておいた方が無難でしょう。)


また、進学先に広島大学 or 岡山大学(またはそれ以上)を考えていらっしゃるのであれば、学年2~3番以内はキープするべきでしょう。


もちろん、中学ではあまり勉強が振るわなかったけれども、高校に入って急激に学力が伸びたという生徒もいるにはいらっしゃいます。しかしながら、このような人はあくまで少数派ではないかと思います。高校の勉強は、中学生で培った基礎学力がベースになるわけですから、高校で「ごぼう抜き」する為には、ものすごいエネルギーが必要になります。結局のところ、先行逃げ切りが最も効率が良いのです。


箱根駅伝、10区での大逆転劇は確かに感動的ですが、私がアンカーの立場なら、できれば最初から一位でたすきを受け取りたいと思うことでしょう。




 

もしこの記事を読んでいるのが高校生 or 高校生の保護者の方であれば、まずは通われている高校の卒業生進路実績データを確認されるべきだと思います。


先輩方の国公立大の合格者数、それが目指すべき校内順位の目安になります。


もしも受験までに1年を切っているにも関わらず、校内順位が目標順位をかなり下回っているような場合には、国公立大からの戦略的撤退も視野に入れるべきでしょう。




難関私立大の多くは3教科で受験できます。一年で5教科を完成させることは無理でも、3教科であれば死ぬ気でやれば何とかなる可能性が高いです。


土壇場まで国公立大に拘泥して全ての教科が中途半端に終わってしまうくらいであれば、まずは英・国・社(理系であれば英・数・理)に手持ちの戦力を集中投下して、その上でさらに余裕があれば改めて国公立を目指すという方が精神的にも楽に臨めるのではないでしょうか?


また、数は少ないものの、公立大の中には4教科、または3教科で受験できるところもあります。国立大では私が知る限り、滋賀大がそうです。


大学受験は、試験科目数や配点などが入試方式・日程により細かく分かれております。自分にとって最も有利な土俵で戦う為に、正確かつタイムリーな情報収集は常に欠かせません。大学受験とは半分は情報戦なのです。





 

おわりに

~ 定性評価から定量評価へ ~



ここまで書いたことは、もちろん市内に住む人なら誰もが肌感覚では分かっていることだとは思います。


ですが、「何となくわかっていること」をあえて数値化することで、はじめて誰もが納得する定量的な目標を立てることができるようにもなります。


「とにかく一生懸命頑張る」よりも「いついつまでに何番以内に入る」という方が具体的な対策は立てやすいものです。


本記事が皆さんの今後の意思決定に、少しでも役に立てばうれしいです。






尾道グローカルラボでは、常に現状を的確に分析した上で、100%生徒の立場に立った進路相談を心がけています。


時として耳に痛いアドバイスをせざるを得ない時もありますが、すべて生徒のことを思ってのことですので、しっかりと受け止めたうえで頑張って頂きたいと願っています。

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