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  • 執筆者の写真Avalon

英語長文の読み方(最速で読む4つのコツ)


英検一次試験まであと3週間になりました。


これからの頑張り次第で点数はまだまだ伸びますので、最後まで諦めず最善をつくしてみてくださいね。



 

英検のリーディングパートは、常に時間との闘いです。


長文をどれだけ早く、そして正確に読むことができるかが、一次試験突破の一つの鍵になって来ると思います。


そこで今回は、短時間で長い英文を読むためのテクニックを、実際の英文を使っていくつか紹介したいと思います。


 


【2019年第一回 3-C】






 

上のパッセージは、2019年第1回の2級で出された長文の一つです。


(引用元である英検の過去問は、こちらから無料でダウンロードできます。)


全文は長いので第一パラグラフのみを抜粋してみました。


ちなみに、英検の長文問題はどの級も基本的に


  • 問1 - 第一パラグラフから出題

  • 問2 - 第二パラグラフから出題

  • ・・・


というように、各設問がパラグラフ内で完結している場合が多いので、最悪ひとつのパラグラフの内容が分からなくなったとしても、それ以外の問題は解けるようにできています。


ですので、もし仮に一問目で詰まっても、パニックに陥らず、落ち着いて次のパラグラフを読み進めてください。


実際、我慢強く読み進めている内に、理解できていなかった前半の内容が「芋づる式に」分かって来る場合もよくあります。


 


Tip 1. 副詞(句)は基本読み飛ばせ!


副詞(句)は、稀に例外はあるものの、多くの場合、文章の大意把握において重要でないことが多いです。


  • In recent decades(一行目):ここ数十年

  • very(一行目):非常に

  • as a whole(二行目):全体としては

  • much(二行目):ずっと

  • still(二行目):未だに

  • in the world(三行目):世界の

  • exactly(三行目):正確には

  • around(四行目):だいたい

  • still(六行目):未だに

  • sometimes(七行目):ときどき


副詞は、文章に彩りを与える為に欠かせない存在ではありますが、文法上文章のどこに置いてもよいことになっている品詞ですので、英文を読み慣れていない人にとっては、文意把握の阻害要因になることがあります。





たとえば本文一行目から副詞(句)を省いてみます。


In recent decades, India has been experiencing very rapid economic growth.

日本語訳すると「ここ数十年で、インドは非常に急速な経済成長を遂げてきている」となります。


重要なのは「インドが経済成長をしている」ことであり、「ここ数十年」や「非常に」のくだりは読み飛ばしてもあまり影響がないことが分かりますね。



 


Tip 2. 限定用法の形容詞も読み飛ばせ!


副詞に次いで重要度が薄いと考えられるものとして、限定用法の形容詞があります。






【そもそも限定用法の形容詞とは何か?】


限定用法の形容詞とは「名詞を直接的に修飾する」形容詞のことです。


たとえば、


Mary is a beautiful girl.


という文章において、beautiful は形容詞で、すぐ後ろの girl を修飾しています。ほとんどの場合、限定用法の形容詞はすぐ後にある名詞を修飾します。(例外はあります。それらは後置形容詞と呼ばれています。)




限定用法の形容詞に対して、叙述用法の形容詞というものがありますが、これは「名詞を間接的に修飾する」形容詞になります。


たとえば、


Mary is beautiful.


という文章を見ると、beautifulの後ろに名詞がありません。実際、beautifulはMaryの補語となっており、be動詞を挟んで間接的に修飾しています。



・・・







前置きが長くなりましたが、今回のパッセージにおける限定用法の形容詞を抜き出してみましょう。


  • rapid economic growth

  • more poor people

  • any other country

  • many experts

  • many programs

  • many people

  • financial support

  • national government

  • local officials


これらの中で、無くなると本質的に文意が失われてしまうのは、二番目のpoorと最後のlocalだけではないでしょうか?




 


Tip 3. 対比の接続詞はカンマ以降が大事


while(二行目)やalthough(五行目)などは、いずれも「Aである一方で、Bである」という二つのものを対比するニュアンスを持った接続詞です。


この「Aである一方で、Bである」系の接続詞が出てきた場合に押さえるべきポイントは、後半の「Bである」の部分です。


極端に言えば「Aである一方で」の部分は読み飛ばしても、本質を捉えるという意味ではそれほど影響はありません。


たとえば、本文2行目の


Yet, while the country as a whole has grown much wealthier, it still has more poor people than any other country in the world.


において、前半while~wealthierの部分は「その国(インド)は国全体としてはずっとお金持ちになった」という意味ですが、これは一行目「ここ数十年で、インドは急速な経済成長を遂げた」という内容とほぼ被っています。




同様に、5行目の


Although the Indian government has many programs designed to help these people, many people still do not receive the financial support they need.


ですが、これも重要なのはカンマ以降の「未だに多くの人々が必要な経済的援助を受けられずにいる」という部分であり、前半の「インド政府は貧困者を助ける制度を沢山もっているが・・・」のくだりはそれほど重要ではありません。




 


Tip 4. 逆説の接続詞に注目


さて、ここまでは「何を読まなくて良いか」を中心に話をしてきましたが、次に「何を読むべきか」について話をします。


目のつけどころは、逆説の接続詞の直後です。


代表的なものに「however」や「but」などがありますが、これらの接続詞の後ろでは、高確率でパッセージにおける重要な事実や筆者の主張が述べられていることが多いです。


「逆説の接続詞の直後を読め」という鉄則は、英語だけでなく、現代文にも当てはまりますね。



今回のpassageで言うと


  • Yet(一行目)

  • but(四行目)


がそれにあたると思います。


念の為、Yetは文頭に来る場合、Howeverやbutと同じように「しかしながら」という意味の接続詞になります。


yetを「まだ」という意味の副詞でしか捉えていなかった人は、これを機に是非覚えてくださいね。


この他にも文頭に来る逆説の接続詞として代表的なものに、neverthelessやnonethelessがあります。



 




さて、ここまで出てきた4つのポイントを踏まえて、文章を整理してみましょう。




In recent decades, India has been experiencing very rapid economic growth. Yet, while the country as a whole has grown much wealthier, it still has more poor people than any other country in the world. It is difficult to say exactly how many poor people there are in India, but many experts agree that around a third of the population suffers from poverty. Although the Indian government has many programs designed to help these people, many people still do not receive the financial support they need. The national government believes one reason is that local officials sometimes steal this money.



グレー部分は無視して、黒字と赤字の単語だけを拾って訳すと次のようになります:


  • インドは成長を遂げている。

  • しかし、インドは他の国より多くの貧困者がいる。

  • インドに何人の貧困者がいるか言うのは困難であるが、専門家は人口の三分の一が貧困に苦しんでいるという意見に賛成している。

  • 人々は、必要な援助を受けていない。

  • その理由の一つには、地方の役人がこのお金を盗んでいるからだと政府は信じている。





如何でしょうか?


だいぶすっきりしたと思いませんか?


長文を時間内に読むことができない方、何度読んでも文章の意味がつかめない方、是非とも上の要領でパッセージを「断捨離」してみてください。


大意を把握する為に本当に必要な箇所はそれほど多くないことに気付くはずです。




今回ご紹介した方法以外にも、長文の内容を素早く掴むコツは沢山ありますが、とても書ききれませんので、また別の機会に譲りたいと思います。



 


さて、最後に一つだけ言いたいことがあります。


それは、今まで書いてきたこととは相矛盾しますが、私自身は上で紹介したような読み方は正直あまり好きではありません。


実際、よほどの時間的制約がない限り、私はこのような読み方はしません。




昨今、英語業界ではスキミングやスキャニングといった手法がもてはやされています。


ですが、そんな小手先の速読技術ばかりを磨いて、本当の意味での読解力や語学力は身につくのでしょうか?


文章は人が書くものです。


ただ闇雲に読み散らすのではなく、その文章を書いた筆者に思いを馳せながらじっくりと味わって読むことも大切なのではないでしょうか?






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